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音楽 Archive

2011年リリースの洋楽アルバムBEST20を選んでみました

わが社ではMEGAROCKなる洋楽専門のWebサービスをやっていますが、当然ながら、私自身が音楽を聴くのが大好きです。特に好きなジャンルはロックで、洋楽に拘っているわけではないのですが、購入するアルバムの9割は洋楽です。あらためてiTunesを覗いてみると、今年は454枚のアルバムがインポートされ、そのうち今年リリースのアルバムは約116枚でした。というわけで、その中でも特に愛聴した作品20枚を、ここでご紹介しようと思います。どれも自信を持ってオススメできる作品ばかりなので、興味を持ったのがあれば是非聴いてみてください。

 

第20位 Mogwai 『Hardcore Will Never Die,But You Will』

Hardcore Will Never Die,But You Will

もはや説明の必要がないグラスゴーの轟音ポストロックバンドの7th。アルバムタイトルと音のイメージに乖離があることが多いMogwaiだが、本作も過激なタイトルと相反するポップな作品に仕上がっている。急激な変化というよりはここ数作続いているMogwai流ポップネスをさらに押し進めたという印象で、新機軸として話題になったデジタルビートも、俄然存在感を増しているキーボードも、今までのイメージを大きく覆すものではなく、新しいアクセントとして機能しているレベルのものだ。かつてのMogwaiの魅力であった轟音はほぼ鳴りを潜めているが、独特の浮遊感や構築感は健在。自ら築き上げた個性を生かしながら、また少し新たな一面を見せてくれるこのまとめ上げ方はさすがの一言。

[PV] “White Noise”

 

第19位 Alex Clare 『The Lateness Of The Hour』

The Lateness Of The Hour

M.I.A.の”Paper Plane”のプロデュースなどでも有名なクラブ・ミュージック・プロデューサーSwitchとDiploが送り出したロンドン在住のシンガーソングライターの1st。流行りのダブステップをベースに、ソウルミュージックでコッテリと味付けしたスタイルは「ソウルステップ」などとも言われているらしい。Mutemathにも似た艶のある力強い声と情感漂うクサ目のメロディがなによりも素晴らしい。凝ったサウンドテクスチャーと美メロのアンサンブルで聴かせるという意味では、なんとなくHurtsに似ていなくもない。それはともかく、今風のデジタルなサウンドテクスチャーでデコレートされたハイクオリティな歌物ソウルミュージックが楽しめる逸品。

[PV] “Too Close”

 

第18位 Simple Plan 『Get Your Heart On!』

Get Your Heart On!

カナダのポップ・パンクバンドの4th。歪さや不完全さこそを魅力とするロックやパンクの文脈では、本作の破綻のない楽曲やアルバム構成は非ロックということになるのかもしれない。しかし、これをポップの文脈で捉えてみると、一部の隙もない完成度の高さが光り輝いて見える。楽曲のバラエティはかつてなく豊かで、お得意のポップ・パンクナンバーやファストチューン、バラード以外に、デジタル・ロックやレゲエ調のナンバーまで盛り込まれているが、そのすべてがSimple Planのテイストに塗り替えられ、アルバムの中で調和しあいながら絶妙な起伏を与えている。Simple Planにとってパンクというのは、彼らが理想とするポップネスを具現化するための要素の一つであって、彼らの本質は極めて実直なポップマイスターということを証明した一枚。

[PV] “Jet Lag ft. Natasha Bedingfield”

 

第17位 Rise Against 『Endgame』

Endgame

シカゴのベテラン・パンクバンドの6th。基本はRancidあたりを洗練化させた男の哀愁パンクである。エッジの効いた分厚いギターリフはハードロックっぽくもあり、『So Long, Astoria』のThe Atarisや近年のMillencollinに似たタイプと言える。非常にストレートなロックで特に変わったことは全くしてないのだが、疾走感だけで一本調子に押してくるようなことはなく、各楽曲に絶妙な緩急とバリエーションを織り交ぜた職人的な曲作りの巧みさに唸らずにはいれない。特にメロディの切り返しのセンスがただ者ではなく、例えばオープニングの”Architects”のサビメロの展開を始めて聴かされた時には思わず拳を握ってしまった。パンクのジャンルを超えて支持されるべき普遍的な魅力を持ったロックアルバムで、ビルボード初登場3位というのも納得である。

[PV] “Make It Stop(September’s Children)”

 

第16位 Patrick Stump 『Soul Punk』

Soul Punk

Fall Out Boyのフロントマン、パトリック・スタンプのソロアルバム第一弾。Fall Out Boyというキャリアと『Soul Punk』というアルバムタイトルに反し、パンクの要素は味付け程度に過ぎず、過剰にトラックを重ねてデコレートされた音像自体はむしろOwl Cityあたりのエレクトロニカに近い。しかし本作の一番の影響源はマイケルとプリンスだろう。Fall Out Boyもマイケルの”Beat It”をカバーしていたが、そういったパトリックの80年代ソウル/ポップ趣味を思う存分ぶちまけたのがこのアルバムの本質だろう。正直、音の重ね過ぎでややうるさく感じたり、アルバムの流れに荒削りな部分は感じたりはするのだが、切れ味鋭いリズムとグルーヴに彩られたキャッチーなダンス・ロックは、そういったネガティブな要素を補って余りある痛快さに満ちている。

[PV] “Spotlight(Oh Nostalgia)”

 

第15位 M83 『Hurry Up, We’re Dreaming.』

Hurry Up, We're Dreaming

ベテランの域に達しつつあるフランス発エレクトロ・ユニットM83の6作目。夢をテーマにした全22曲、CDでは2枚組という気合の入った大作。シューゲイザー+エレクトロニカという彼らの基本路線はほぼ不動ながら、いつもよりもディスコテックな曲やドリーミーな曲が多く、アルバム全編を通して明るくポジティブな印象が強い。こういたタイプのアーティストは全体の雰囲気でアトモスフェリックに聴かせることも多いが、どれだけサウンドに工夫を凝らしても明快な歌メロをしっかり聴かせてくれるのが彼ららしい。全22曲というボリュームながら、どの曲もしっかりと作り込まれているため、聴いていて中弛みすることもなく一気に聴ける。M83というのは星雲の名前なのだが、まさに星雲の様な美しくまばゆい光を放ちながら夢見心地にさせてくれる一枚である。

[PV] “Midnight City”

 

第14位 Foo Fighters 『Wasting Light』

Wasting Light

Foo Fightersはずっと好きなアーティストだったが、アルバム内の曲のばらつきが大きく、一撃必殺のキラーチューンと退屈な楽曲が常に混在していたのが不満だった。しかし本作においてこの構造は逆転していて、過去の名曲群に匹敵するキラーチューンがない代わりに楽曲のムラがなくなっている。結果、個人的にはもっとも聴きこんだアルバムとなった。ハードコアなナンバーからミディアムナンバーまでアルバム内のバラエティも豊かで、どの曲にもやや強めのフックがあることから、バンドの本質であるロックのど真ん中を貫く王道ロックを無心になって楽しむことができる。”Everlong”や”All My Life”、”The Pritender”のような名曲がないのは確かだが、これは間違いなくフーファイの最高傑作アルバム。

[PV] “Rope”

 

第13位 Coldplay 『Mylo Xyloto』

Mylo Xyloto

相変わらずの貫録を見せつけてくれたColdplayの新作。実は前作『Viva La Vida』はその完成度の高さとは裏腹に気持ちが入り込めない感じがしたのだが、本作はそのあたりもクリアし、自分の中で順当にヘヴィロテ入りを果たした作品だった。初期Coldplayの影が既にないのは当然としても、ここまで多幸感あふれるエレクトロサウンドに傾倒したのはやや驚きだったが、スタイルは変われど、遍く人を魅了するポップミュージックを生み出すセンスはやはり変わらない。フジロックでも披露していた” Charlie Brown”や” Every Teardrop Is a Waterfall”といった近年のColdplayらしいポジティブナンバーを差し置いて、実はリアーナをフューチャリングした” Princess of China”が一番のお気に入り。このスケール感はほんとに感動的。

[PV] “Every Teardrop Is A Waterfall”

 

第12位 The Cab 『Symphony Soldier』

Symphony Soldier

ラスベガス出身の新世代エモバンドの2nd。デビュー作はエモにファンク、ヒップホップ、R&B、ソウルなどのブラックミュージックが絶妙なバランスでブレンドされていた傑作だったが、より普遍的なアメリカン・エモに変貌した本作は、それに比べると個性やインパクトの減退感は否めない。またメンバーが3人となり、Fueled By Ramenからはドロップし、自主制作でのリリースとなるなど、バンド活動の縮小傾向も気になるところ。しかしながら楽曲自体の魅力は揺るぐことはなく、メロディメイカーとしての才能は本作でもいかんなく発揮されている。1曲目の” Angel With A Shotgun”から愁いを帯びた絶品エモが炸裂するさすがの一枚。前述のとおり自主制作のため日本国内での正規の流通ルートに乗ってきてないのがなんとも悔やまれる。

[Audio] “Angel With A Shotgun”

 

第11位 Times Of Grace 『The Hymn Of A Broken Man』

The Hymn Of A Broken Man

Killswitch Engageのギタリスト、アダム・デュトキエヴィッチが、元KsEのジェシー・リーチをヴォーカルに迎えて結成されたプロジェクト。KsE同様のエクストリーム・ヘヴィメタルではあるが、哀愁のメロディが大幅に増量され、極めてドラマティックに仕上がっている。ジェシーのヴォーカルは絶叫を尽くしても悲哀の旋律とは不可分で、アダムの描くリフやイントロ、ソロもキャッチーと、KsEのようなメタルコア的雰囲気は希薄である。何気にMachine Headの新作にも近い気がするが、こちらの方が楽曲はコンパクトで粒ぞろいだ。オープニングの” Strength In Numbers”からしてバキバキのメタルリフと大地を揺らすスクリームが楽しめる悶絶モノの名曲で、その後も素晴らしい曲が息つく間も与えず展開する。ソロプロジェクトでこれをやられてしまっては、現KsEのメンバーたちもたまったものではないだろう、と余計な心配さえ過ってしまう充実のソロプロジェクト。

[PV] “Strength In Numbers”

 

第10位 Sigur Ros 『Inni』

Inni

Sigur Rosのライブ作品といえばなんといってもアイスランドの美しい風景とともに収められた『Heima』が素晴らしいのだが、音源としての初リリースとなる本作もやはりいい。様々なサウンドをコラージュの様に重ね合わせて端正に作り上げられるスタジオ作と違い、ライブでのSigur Rosの魅力といえば静と動のコントラストがよりダイナミックに鳴り響く点だ。そのライブの魅力の一端が本作でも十分にうかがえる。ライブ音源ならではの粒の荒い音像や生身の人間によるエモーショナルな演奏が、神々しい美しさの内に潜む獰猛さと狂気を露わにしている。『残響』に伴う来日公演がヨンシーの喉の不調で不完全燃焼気味だっただけに、次の再来日が本当に待ち遠しくなる作品である。

[live] “Glosoli(live)”

 

第9位 The Roots 『Undun』

Undun

ヒップホップには珍しいバンド編成で、何気にこれが10作目となる結構キャリアの長いアーティスト。バンド演奏を中心にしている故に、昨今のヒップホップにありがちなギラギラとしたエレクトリカルな印象はほとんどなく、生っぽいオーガニックな音像で落ち着いた大人のヒップホップに仕上がっている。深みのある声で展開されるクセのないラップからは、高揚感や緊張感より、安心感・幸福感を強く感じる。リードシングルの” Make My”の素晴らしさはもとより、” One Time”、” I Remember”といった曲も甲乙つけがたい名曲だ。もちろんその他の楽曲も充実しており、捨て曲は見当たらない。派手さがない分、これからも長く付き合っていけそうな作品である。

[PV] “Make My”

 

第8位 Sixx:A.M. 『This Is Gonna Hurt』

This Is Gonna Hurt

Motley Crueのニッキー・シックスのソロプロジェクトの2nd。モトリーのような80′sスタイルのメタルではなく、オルタナティブを通過した90年代以降のハードロックである。曲の充実度がハンパなく、極上の楽曲が終盤までギッシリ並んでいる。特にお気に入りなのは”Are You With Me”、”Live Forever”、”Help Is On The Way”、”Oh My God”あたりだが、この4曲に限らず聴きどころは多い。ニッキーのソングライティングはもちろんのこと、DJアシュバの艶のあるギターワーク、ジェイムズ・マイケルの伸びやかで男らしさと哀愁を感じさせるヴォーカルも見事で、非の打ちどころが全くない。最近のパッとしないモトリーなんか辞めちゃってこっちに専念すればいいのに、という無責任なことを思ってしまう快作である。

[PV] “This Is Gonna Hurt”

 

第7位 The Antlers 『Burst Apart』

Burst Apart

ブルックリンのインディーバンドの4作目。『Kid A』以降のRadioheadを思い起こさせる、デジタルサウンドを重ね合わせたゆったりした浮遊感のあるポストロック/シューゲイザー/エレクトロニカ的な音像を、抒情的でドリーミーな方向に振り切ったような作風。例えるならKyte meet Beach Houseといったところか。実験的なサウンドコラージュは耽美的で美しさを演出する舞台装置であり、全体的にメロディが引き立つ方向にサウンドが設計されているため、難解さはあまり感じない。しばし挟まれる女性ヴォーカルもポップさを強調している。とにかくこのメロディの美しさが白眉で、油断しているとその美しい旋律の渦の中で心地よく聴き溺れてしまいそうだ。日本での知名度がそこはかとなく低い気がするが、これはすごく日本人好みの音ではないだろうか。

[PV] “Every Night My Teeth Are Falling Out”

 

第6位 Friendly Fires 『Pala』

Pala

名曲”Paris”を擁するデビュー作で大きな話題をさらった英国ダンスロックバンドの2nd。入念に構築されたサウンドアレンジはより精緻さを増し、楽曲展開もより凝ったものとなって、キラキラと光り輝くポップなダンスチューンにさらなる奥行きを与えている。オープニングの”Live Those Days Tonight”のアッパーな疾走感から一転、”Blue Cassette”の多幸感溢れるムードに支配された時点で、彼らの2ndアルバムが大成功に仕上がったことを実感するだろう。もちろんその勢いはオープニングにとどまらない。” Hawaiian Air”、”Pull Me Back To Earth”、” Helpless”といった個人的なフェイバリットをあげるまでもなく、アルバム終盤まで聴きどころは満載だ。ブライテストホープが順調に進化・深化を遂げた2ndアルバムの理想形である。

[PV] “Hurting”

 

第5位 Wilco 『The Whole Love』

The Whole Love

アメリカン・オルタナカントリーの雄Wilcoの8作目。終盤の攻撃的なギターソロが印象的な冒頭の” Art Of Almost”にいきなり驚かされるが、この曲は本作では異質な部類に入る。カントリーとインディーロックの美味しいところをうまく取り入れたポップで美しいメロディと、一音一音を大切にしたような丁寧なサウンドメイキングで、非常に聴きやすいアルバムに仕上がっている。過去作で見られたような実験的な面はほとんどなく、また派手というよりむしろ素朴という言葉がよく似合う。バラエティはかなり豊かだが散らかったような印象は決してなく、この曲はいいな、うん、この曲もいい、などと考えているうちにあっという間に最後の曲まで導かれてしまう。これだけ振り幅の広い楽曲を揃えながら、そのクオリティにまったくムラがないのが驚きである。これもひとえにWilcoというバンドが持つ底なしの才能故のことなのだろう。

[PV] “Born Alone”

 

第4位 Death Cab For Cutie 『Codes And Keys』

Codes And Keys

USインディーロックの至宝Death Cab For Cutie通算7枚目。作風としては『Plans』『Narrow Stairs』の正常進化型といっていいだろう。メロディやフレーズを丹念に組み上げながら曲の魅力を精緻に浮き彫るような、宝石のように磨きこまれた楽曲が整然と並んでいるいつものデスキャブのアルバム。リスナーの耳を強引に抉じ開けるような派手さや押しの強さはないが、音楽に真摯に向き合えば心の深いところにしっかりと突き刺さってくる。一方、不思議と過去の楽曲に類似するようなパターン感やマンネリ感はなく、例えば”Unobstructed Views”のような実験的なテイストを織り交ぜるなどして、リスナーを飽きさせない新機軸もさりげなく盛り込まれている。ベテランの職人的センスがいかんなく発揮されたさすがの作品。

[PV] “You Are A Tourist”

 

第3位 Foster The People 『Torches』

Torches

今年スマッシュヒットを放ったアメリカン・インディーロックの新星のデビュー作。彼らの音を表現するのにMGMTがよく引き合いに出されているが、あえていえばMGMTの”Kids”の方向性を煮詰めてさらにポップに振り切ったような作風である。ようするにエレクトロな味付けが強いポップなディスコ・ロックということで強烈な個性はないのだが、ヒットした” Pumped Up Kicks”のみならず、全ての楽曲の完成度が異常に高く、一度聴きだすとずっと聴きつづけたくなる、麻薬のような魅力を秘めている。心地よいグルーヴやキャッチーなコーラスワークなど、聴いているうちにハッピーになるようなフレーズが満載で、ポップミュージックとしての機能性は最高水準だ。本作がデビュー作であることを考えるとなんとも末恐ろしい。

[PV] “Pumped Up Kicks”

 

第2位 Adele 『21』

21

2011年に世界で一番売れたアルバム。セールス面ではThe Beatles以来の記録的な快挙を打ち立てて、グラミーをはじめとする賞レースでの圧倒的な成績が予想される、2011年の音楽シーンを席巻しまくった歴史的作品。改めてここでその素晴らしさを説明する意味はないのだが、しかしそれでもやはりこのアルバムを避けるわけにはいかない、というほどにこのアルバムは聴き倒した。ライブもあまり行わず、セールスを後押しするようなプライベートなゴシップもほとんどない本作がこれだけの成功を収めたのは、作品の強度、各曲の訴求力が突き抜けていたからだろう。派手な装飾を排したシンプルでストイックな音づくりがアデルの唯一無二のハスキーヴォイスと、楽曲の魅力を200%引き出している。アルバム収録の全ての曲が珠玉の名曲という、誰もが認めざるを得ない2011年を代表する一枚。

[PV] “Rolling In The Deep”

 

第1位 Bon Iver 『Bon Iver』

Bon Iver

アデル同様、今年になって大ブレイクを果たし、本作も様々なメディアで絶賛され、やはりグラミー賞にもノミネートされているジャスティン・ヴァーノンのプロジェクトBon Iver。挫折と失恋で失意のどん底にあったジャスティンが雪深い小屋に籠って制作したというエピソードがそのまま音になったような、底しれぬ悲しみを湛えながらも透き通るように美しい作品。ジャンル的にはフォークに分類されているが、全体的にポストロック的なアプローチが目立ち、「アメリカのSigur Ros」という表現もあながち外れてはいない。どの曲もため息が出るほどの美しさで、悲しい感情を丁寧に紡いだようなファルセットと繊細でドラマティックなサウンドは、涙なしでは聴けない。順当すぎるセレクトに我ながらやや恥ずかしいが、やはりどう考えても本作が今年のベストだ。

[PV] “Holocene”

 

最後に、TOP20には漏れたけど、なかなか良かった「次点」のアルバムをご紹介。

Anthrax 『Worship Music』
Bad Habit 『Atmosphere』
Battles 『Gloss Drop』
Clare Maguire 『Light After Dark』
Daughtry 『Break The Spell』
Emmy the Great 『Virtue』
Feist 『Metals』
Florence + The Machine 『Ceremonials』
Gang Gang Dance 『Eye Contact』
James Blake 『James Blake』
James Blake 『Enough Thunder』
Journey 『Eclipse』
Lady Gaga 『Born This Way』
Machine Head 『Unto The Locust』
Mutemath 『Odd Soul』
Nickelback 『Here And Now』
Noel Gallagher’s High Flying Birds 『Noel Gallagher’s High Flying Birds』
Remember Remember 『The Quickening』
Skrillex 『More Monsters and Sprites EP』
Slow Club 『Paradise』
St. Vincent 『Strange Mercy』
Switchfoot 『Vice Verses』
Tim Christensen And The Damn Crystals 『Tim Christensen And The Damn Crystals』
Washed Out 『Within and Without』
Wild Beasts 『Smother』
Worm Is Green 『Glow』

というわけで、来年もいい作品に巡り合えますように。


自社サービス『MEGAROCK』をリニューアルしました

「Webサイトは公開してからがスタートですよ」「Webサイトの成否は開発よりも運用にかかってますよ」というのはお客様によくいう言葉なのですが、それは自社サービスでも例外ではありません。当社の自社サービス第一弾として今年5月に公開したMEGAROCKですが、ログやネット上の反応から、事前に予想できたこと、できなかったことを問わず、数々の問題点が浮き彫りになりました。そこで全5回に分けてのリニューアル計画を立て、このたび第1回目のリニューアルが完了しました。ここでは、今回の主なリニューアルのポイントをご紹介します。

ポイント1:ランキング機能の強化

そもそもの問題として、リニューアル前のMEGAROCKはコンセプトの絞り込みが弱く、サービスの核がぼやけていました。そのためコンセプトを「洋楽ランキング」にフォーカスし、貧弱だったランキング機能を大幅に強化しました。具体的には、総合、ロック&ポップス、オルタナティブ&パンク、メタル&ハードロック、ダンス&エレクトロニカ、ブラックミュージックという6ジャンルにカテゴライズしてランキングを閲覧できるようになり、さらにリリース年別、年代別に絞り込んで閲覧できるようになりました。これにより、合計354種類のランキングが楽しめるようになっています

一般の音楽ランキングというとビルボードやオリコンが有名ですが、これらとMEGAROCKのランキングには二つの大きな違いがあります。

一つ目は、セールスではなくネット上の評価をベースにランキングしている点です。セールスベースのランキングでは、上位の作品が必ずしも良い作品とは限りません。作品の出来ではなく、知名度やプロモーション力、あるいは前作の評価が大きく影響するからです。しかしユーザ評価を元にしたMEGAROCKのランキングでは、上位にある作品=ユーザの評判がいい作品、ということになります。もちろん好みは人それぞれですが、良い作品をより見極めやすいランキングになっていると言えます。

もう一つはランキングを細かくソートできる点です。一般のランキングのほとんどが最新ランキングですが、MEGAROCKのランキングはジャンルを絞り込み、過去に遡ってランキングを見ることができます。自分の興味のあるジャンルに限定し、さらに関心のある年代・年に絞り込んで、作品の評価を比較することができます。

このように、ソーシャルな情報を元にして時間軸をなくしたネットならではのランキングシステムにより、新しいアーティストやアルバムの購入を検討する際に参考になる、洋楽ファンにとって実用的なランキングに仕上がっています。

ポイント2:リコメンド機能(おすすめ機能)の実装

MEGAROCK公開時から実装されていたお気に入り登録機能は、利用するベネフィットがなにもなく、「だから何?」という機能に陥っていました。しかし、リスナーのインタレストグラフを形成する上でお気に入り機能は欠かせない機能であり、この利用を促進するための抜本的かつ大々的な改変が必要と考えていました。今回、その改変策の第一弾として、リコメンド機能を実装しました。

音楽のリコメンド機能はさほど珍しくはありませんが、例えばAmazonの場合は、単にセット購入されている傾向から導き出されたリコメンドであり、LastFMはアーティスト同士の関連性の高さによるリコメンドです。これらにはそのアーティストや作品に対する評価自体はリコメンドに反映されていないため、自分好みの作品に出合う精度はそれほど高くはなかったりします。

一方、MEGAROCKのリコメンド機能は、手動で入力されたお気に入り情報と、ランキングと同様のユーザ評価をベースにし、より好みにマッチした、精度の高いリコメンドを目指しています。また、ただリコメンドするだけでなく、そのマッチングの度合いによって最大20位までランキングされ、さらに6種類のカテゴリに分類できるため、より自分の好みに合ったアーティストや作品を見つけやすいシステムになっています。実際私もリコメンドされた作品を5つほど一気に購入しましたが、いずれもなぜ今まで聴いてこなかったのだろう、と思えるほど、私好みの作品ばかりでした。

ポイント3:いいね!ボタンの実装

Facebookなどの昨今のソーシャル系サービスに倣い、リスナーおよびリスナーの書いたレビューに対して、評価を与えることができるようになりました。ただしこの機能が本当に意味を持つようになるのは第2回、第3回のリニューアル後になります。今は、ひとまず環境を整えた、というレベルのものです。

ポイント4:ナビゲーションの見直し

ヘッダ部分を常時表示とし、また各カテゴリトップの構造を大幅に見直し、コンテンツによりアクセスしやすいサイト構造にしました。

ポイント5:処理の高速化

データ読み込みの効率化や、利用頻度の低い動的モジュールを排除するなどして、全体的に高速化を行いました。ちなみに高速化処理については今後も継続的に行っていく予定です。今回のリニューアルには間に合いませんでしたが、静的データの併用により、近々ランキングの表示がさらに高速化される予定です。

今後の展開

MEGAROCKでは、計4回のフェーズに分けて、以下のようなリニューアルや機能追加を実施していく予定です。このブログをご覧いただく方は、必ずしもMEGAROCKのターゲットではないかと思いますが、Web制作会社が本気で取り組み、試行錯誤しているWebサービスとして、時々その動向を気にかけていただけると幸いです。

  • アーティストや作品の評価・コメント機能(レビュー機能の見直し)
  • アーティストや作品のチェック機能(ブックマーク機能)
  • アーティストページの全面リニューアル
  • 洋楽診断機能
  • リスナー間のメッセージング機能
  • アーティスト別にリスナーの「ファン度」をランキング化する機能
  • オリジナルランキングの作成機能
  • PCやスマホでのリスニングデータの集計

MEGAROCKの課題と今後の展開

自社サービス第一弾として公開したMEGAROCKですが、リリース当初の「ご祝儀アクセス」をピークにUU数/PV数ともに減少傾向です。事前にある程度予想はしていたのですが、公開したうえで改めて実感した、現状の問題点を洗い出してみました。

課題1:閲覧ユーザのニーズを満たしていない

こう書くと元も子もないですが、アーティスト単位で情報を集約し、アルバム情報から動画、口コミに至るまでまとめた巨大データベース自体は、多くのユーザにとってそれほど歓迎されるものではないということが、回遊率などから推測できます。一部には1回のセッションで20画面を超えるページを閲覧していただけるユーザもいますし、回遊率自体はUIの問題もあるのかもしれませんが、やはり全体的に見ると、データベースが集約されていること自体には大きな価値がない、と言えます。あるいは同じデータベースでも、もう少しユーザの好みにフォーカスした見せ方が必要なのかもしれません。

課題2:登録ユーザのベネフィットもない

MEGAROCKにはTwitterと連携して簡単に会員登録できる機能がありますが、実際のところ、会員登録をするメリットがほとんどありません。会員登録するとお気に入り機能が使えるようになり、自分の好きなアーティストやアルバムを登録することができるのですが、「だから何?」というレベルで終わっているのが現状です。やはり登録することによって楽しめるコンテンツが不可欠です。

課題3:繰り返し利用する(アクセスする)価値があるコンテンツがない

例えば、ニュースもないですし、ランキングといっても、ジャンル分けもされていない、ずっと変わらない不動のランキングが表示されているだけです。口コミはほとんど使われていませんし、時々アップされるのはレビューぐらいですが、これも最近は頻度が落ちてしまっています。ユーザからすると、わざわざ再訪問する価値はあまりなく、結果、せっかく来てくれたユーザを逃がしてしまい、アクセス数の減少に繋がっている面があると思います。

課題4:SEO対策が有効に働いていない

hタグの付け方、ターゲットとするキーワードを複数登場させるなど、コーディングルールでSEOに配慮してはいるものの、ページ数の割に検索エンジンからの流入が非常に少ないというのが実情です。外部被リンク数1,990、内部被リンク数4,160、外部ドメイン数32と、何も被リンク対策をしていない割に被リンク数はそれなりの数になってはいるのですが、やはり競合サイトと比べると少なく、ターゲットとしたいキーワードで全く上位表示されません。オーガニック検索によるアクセスは長期的に必要ではあるものの、ドメイン年齢も若い現状では、リスティング広告などをもう少し積極的に活用しなければならないでしょう。

課題5:サイトのコンセプトが中途半端

上記の課題すべてに影響を与えている課題ですが、現在の「洋楽ロックのランキング、レビュー、口コミサイト」というコンセプトは中途半端で、結局何のサイトなのか、焦点が絞れていません。MEGAROCKのユニークな情報はAmazon等から収集した独自のランキングシステムと国内最大規模の洋楽データベースです。ここに特化し、サイトのコンセプトを再定義する必要があると感じています。

これらの課題を踏まえて、先月より早速リニューアルプロジェクトを進行しています。今後、フェーズを3回に分けて、以下のような大規模な改修を予定しています。

●フェーズ1

ランキングシステムの大幅強化

アルバムのランキングをジャンル別、年別、年代別に分け、さらに直近3ヶ月にリリースされたアルバムのランキングも追加し、よりユーザの嗜好に合わせ、ニュース性をもったランキングシステムに生まれ変わります。

リコメンドシステムの実装

お気に入りに登録したアーティストやアルバムの情報から、リコメンドのランキングを返す機能を実装します。好きなアーティストやアルバムを登録すればするほど、好みにより近いオススメのアーティストやアルバムがランキング形式で閲覧できるようになります。

リスナーページとレビューに評価ボタンを追加

リスナーページには「いいセンスしてますね!」、レビューには「いいレビューですね!」というオリジナルの評価ボタンを設置し、お気に入りの登録やレビューの投稿に対して他のユーザからフィードバックが得られるようにします。

フェーズ1の対応が完了次第、「洋楽 ランキング」に対するリスティング広告などを行い、現在国内で約10万セッションほどある「洋楽 ランキング」での検索の10%がMEGAROCKのセッションとなる様な流入施策を行います。ちなみにフェーズ1段階でのトップページは以下のようなイメージになる予定です。

●フェーズ2

洋楽診断の実装

お気に入りアーティスト/アルバムを登録することで、自分がどういうジャンルに精通し、あるいはどういうジャンルに好みが傾いているかが分かるグラフを生成します。また診断結果によって「ヒップホップ好き」「パンク通」「メタル馬鹿」(いずれも仮称)などの肩書きが付くようになり、これによって音楽の趣味をよりアピールしやすいリスナーページに生まれ変わります。

●フェーズ3

マイランキングの作成・投稿

例えば「イントロがカッコいい曲TOP10」「THE BEATLES好きにオススメのアルバムTOP10」などのランキングをリスナー独自で設定し、他のリスナーからの投票を受け付けることができる仕組みを作ります。洋楽をテーマにしたリスナー同士のコミュニケーションの活性化を図ります。

アーティストポイントシステム

そのアーティストに対するアクティビティ(お気に入りに入れる、レビューを書く、口コミを投稿する、ランキングに入れる、など)によって変動するポイントをアーティストごとに発行します。このポイントを集計して「ファン度」を数値化することで、アーティスト別リスナーランキングを生成します。さらにランキング1位のユーザにはバッジを発行するなどして、「No.1ファン」であることをアピールできるような仕組みを作ります。

●フェーズ4以降

アイデアは具体化していませんが、以下のような機能の実装も予定しています。

  • 携帯音楽端末やPC等でのリスニング履歴の収集・集計
  • 現在聴いている曲の表示
  • iPhone/Androidアプリ
  • 同じ曲やアーティストを聴いている人の表示、チャット
  • 広告機能

なお、リニューアルが完了するたびに、会員の方にはTwitter宛にご連絡させていただこうと思っています。また、他にこういう機能があればいい、というアイデアがあればTwitterのMEGAROCKアカウント、あるいはMEGAROCKのご意見フォームまで、是非お気軽にご連絡ください。

 


turntable.fmが再び日本で楽しめる日は来るか?

久しぶりの大型Webサービスとして日本のWeb関係者や音楽関係者、音楽好きの間で一気に広まっていったturntable.fmですが、やはりというか、6/25をもって日本からはサービス利用ができなくなってしまいました。このあたりについて思ったことを少し書き綴ってみようと思います。(著作権等に関することは素人なので、もし認識違いしている箇所があればご指摘ください)

turntable.fmが日本で使える可能性

turntable.fmを運営するCEOのBilly Chasenは「We are working very hard to try and get you in as soon as possible. 」と言っていますが、実際のところturntable.fmが正規の利用方法で日本から使えるようになる可能性は低いと思います。というのも、これは技術的な問題ではなく、著作権の問題だからです。

CDにおいては、日本のレコード会社が発売している一般に「日本盤」と呼ばれているCD以外に、海外から輸入している「輸入盤」を購入できるのは周知の事実でしょう。しかし、実はデジタルの世界では、正規音源は国境を越えられない、というのが原則です。例えばiTunesStoreは各国で展開していますが、音楽を購入できるのはその国のクレジットカードを持っていることが条件です。基本的に、日本国民が米国のiTMSで米国価格の安い音源を入手することができません。これはiTunesStoreに限らず、AmazonMP3をはじめとするオンラインの音楽ダウンロードすべてに共通する仕様です。ではyoutubeのオフィシャルチャンネルで聴く行為はどうなのか、Paypalで買えるサイトはどうなんだ、という議論はありますが、原則はそうなんだと思います。

今回のturntable.fmのサービスの肝になっている音源データは、MediaNetのサービスを使っています。ユニバーサルやソニー、ワーナー、EMIといった大手メジャーレーベルがコンテンツパートナーとしてなっており、それ故にユーザは膨大なライブラリの中からセレクトして自分の好きな音楽をかけることができました。しかし、こういったメジャーレーベルが関わっている以上、当然前述の「音楽のデジタルデータは国境を越えてはならない」という基本ルールが適応されるはずです。

turntable.fmが米国外からのアクセスを遮断するに至ったのも、この基本原則に従ってのことでしょう。そしてこの基本原則が変わらない限り、米国外からturntable.fmを利用できる日が来ることはありません。CDがかつて輸入盤が解禁になったように、国境を越えたデジタルデータのやり取りが解禁されるのを待つしかないのが実状です。

最近のクラウド化の流れを見ているとそれもそう遠くなさそうですが、やはりturntable.fmでもMediaNetでもないもっと大きな力を持った誰かが基本ルールを変えてくれるしかない、という極めて他力本願の待ち状態であることには変わりはありません。

turntable.fm的なものを日本国内で立ち上げるには

有力サービスの利用停止という事態は、ユーザやファンにとっては悲しむべき出来事ですが、Webサービスで成功しようと虎視眈々と目を光らせているベンチャーにとっては大きなチャンスでもあります。では、例えばかつてorkutにインスパイアされて日本独自のSNSとしてmixiが立ち上がったように、turntable.fmを参考に、より日本国内の実態と著作権の特性に合わせた日本独自の類似サービスを立ち上げることは可能でしょうか?

技術的にはまったく問題ありません。2~3名の優秀なUIデザイナーとエンジニアが集中して開発すれば、ものの1~2ヶ月で立ち上げることが可能でしょう。

しかし、やはりここでも著作権の問題が絡んできます。まず、日本には、有料/無料を問わず、MediaNetのように、オンライン上で自由に音楽を再生することを許しているサービスが存在しません。となると、ユーザのアップロードを前提にしたものにするか、youtubeなどのAPIを使ったものしか選択肢はなくなります。しかし前者は確実に違法になるでしょうし、後者は扱える曲がかなり限られてくる上に、音質などのクオリティ面でのバラつきも出てきます。法律的にもややグレーです。

そうなると、やはりオンラインで音楽を楽しむサービスを、どこかの企業なり団体なりが整備してくれるのを待つしかありません。これは一ベンチャーができるものではなく、業界団体や著作権団体を巻き込み、さらにも法律自体も変えるなど、かなり大がかりなものとなるはずです。

急速に進むクラウド化の環境と行き詰まりを見せる著作権ビジネスの現状を考えると、こういった動きが活発になるのは期待できます。実際、JRCがUstream上での二次使用を許した例やニコニコ動画内での楽曲利用が許可された例もありますし、私が知らないだけで既に大きなプロジェクトが動いているのかもしれません。ただ、それが外部で流用可能なサービスとして実現するのはもう少し先で、それは海外のクラウドサービスが上陸してくるのとどちらが早いか、となると判断が難しいところです。もしかしたら、Googleあたりが著作権の壁を無視して、有無を言わせないぐらいにシェアを広げてクラウドの自由利用を既定路線にしてしまう方が早いかもしれません。

しかし、現時点での結論としては、著作権が絡む以上、SNSの時のように国内独自サービスをすぐに立ち上げることは難しく、前章のturntable.fmが日本で使えるようになるか、という問題と同じく、著作権を解消したクラウドサービスの整備待ち、という状況です。

ただ、turntable.fmが著作権の壁にぶち当たり日本を席巻することは当面ないことを考えると、国内の状況を逐一観察し、サービスの実現が可能になった段階で速攻リリース、国内のシェアを一気に獲得、そこからアジアなどのグローバルに進出、という戦略を取れる可能性はあります。体力のないベンチャーは、ここに望みをかけるという手はあるでしょう。

turntable.fm的なものを日本国内で立ち上げたときのマネタイズ方法

turntable.fmは無料サービスだったことも、ユーザとしてはインパクトが大きかったと思います。MediaNetが有料サービスであったことを考えると、おそらく当面の使用料はサービス提供者が支払い、ユーザをある程度獲得できた段階で広告モデルなどを投入してマネタイズする、という方法なのでしょう。

しかし、著作権料がもう少し高い日本でこれをやるには、ややリスキーな気がします。ベンチャーキャピタルから支援を受けた企業なら可能性はありますが、経営体力のない中小のベンチャーが趣味の延長で手を出すと痛い目を見るでしょう。

ただ、私個人としては、turntable.fm的なサイトを日本でやるのであれば、ユーザ課金型のサービスでいいんじゃないかな、とも思っています。

turntable.fmは音楽の楽しみ方を一変するかのような論調もありましたが、特にDJとなって音楽をかけたいと思うユーザに限ると、かなり深く音楽を聴いているニッチ・ユーザです。実際turntable.fmも、話題となった一週間くらいは物珍しさで参加した日本人ユーザが多かったですが、一週間もするとコアな音楽ファンだけがDJブースに残っていたように思います。

こういうコアな音楽ファンは、自分の好きな音楽を人に聴かせること自体に喜びを感じています。なので、サービスが無料である必然性はあまりなく、それほど高額でなければ有料でも積極的に利用すると考えられます。そこで、DJをするユーザに課金し(1曲10円とか?)、それを聴くユーザは無料、それで足りない分は広告モデルや音楽の販促と絡めた企画コンテンツのスポンサー収入で補う、というスタイルがいいんじゃないかな、となどと思います。実際のマネタイズ計画はこんなに簡単に考えるものではないのでしょうが、フリーであることにあまりこだわる必要はないかな、というのが私の見方です。

いずれにしろ、私個人としては、どこかの誰かが著作権の仕組みを整備し、一日でも早く、turntable.fm、もしくはそれに類するサービスが日本で立ち上がってくれることを願っています。いや、うちの会社でやるという手もありますが、それはおいおい考えていきましょう。


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